魔法使いの一日
そんなソラはほっといて、制服を着替えるため部屋に向かおうとしたら、
グイッ
「わっ?!」
突如右手を引かれ、バランスを崩しかけた。
「って、いきなり何すんのよ!」
「………」
声をかけてもソラは何の反応もせず、ただ私の手の甲…今日アルベルト君にキスされた所をまじまじと見る。
そのせいで今朝の事を思い出し、自然と顔に熱が集まっていくのが分かった。
「なぁ、もしかして今日…誰が来たのか……?」
「は…? 誰かって……転校生の事?」
「転校生だか何だか知らねぇけど、誰か来たのか?」
何だかいつものソラと違う感じがし、よく分からないけどとりあえず首を縦に振った。
するとソラは何かを考えてるかのように顔をしかめ、そして手を離した。
「ど…どうしたの?」
「……いや、何でもない。それと、その転校生って奴……気を付けろよ」
「は?」
今度は何を言いだすのかと思ったらそんな事で、思わず間抜けな声を出してしまった。
「気のせいかもしれないが……とにかく気を付けろよ」
「いや、だから何に気を付けろと?」
ダメだ、ソラが何を言ってるのかさっぱりだ。
再びその事を聞くと、とにかく気を付けろ、とごり押しされて終わった。
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