魔法使いの一日
とりあえずどうしようかなーとその場で立往生していると、
バタンッ!!
突然背後からそんな音が聞こえたので慌てて振り向いてみると、扉が勝手に閉まってしまったのだ。
「何…このホラーな展開……」
「藤代さん」
閉まった扉を見ながら顔を引きつらせていると、いきなり声を掛けられ肩をビクつかせた。
「ア…アルベルト君……」
いつから居たのか、私の後ろにはアルベルト君が居てニコッと笑いながらこっちを見ていた。
「もー…驚かさないでよ。今も勝手に扉が閉まってびっくりして……」
「すみません、驚かすつもりはなかったんですが……。扉は閉めないと貴方が逃げてしまうでしょう?」
なんか後者のセリフが引っ掛かり、思わず首を傾げた。
「でも本当、まさかこんな簡単に引っ掛かるとは思わなかったよ。やっぱ人間って聞いた通りのバカなんだな」
「は……はい? アルベルト……君?」
最早アルベルト君はいつもの敬語で喋らずに次々と罵倒していく。
私はこの唐突すぎる展開に頭が着いていけなかった。
「ヴァルボーネ様はあいつと、その側に居た人間の女を始末してこいって言ったけど、こんな女わざわざ殺す理由が俺にはどうも理解できないや」
「ヴァルボーネ……?」
何だっけその名前…どこかで聞いたような……。
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