魔法使いの一日


何だっけなーと頭の中を巡らせていると


ビュッ!


「――っ!!?」


突然アルベルト君が目の前に迫りすぐ横を何かが掠めた。


驚きのあまり言葉も出なく、数歩後ろに下がる。頬からはジンジンとした痛みを感じ、触れてみるとヌルリとした。それは明らかに血だった。


目を見開きアルベルト君を見てみると、手には鋭利なナイフが握られていた。


「な…何でそんな、物騒なもの……持ってるの……?」

「あれ? まだ分かんないの? ここまでバカだと笑えてくるよな。言っただろ? 俺はお前を殺すよう命を受けた、ただそれだけ。どうせ今から死ぬんだしどうでもいいだろそんな事」


平然とそんな事を言い、アルベルト君はニッと笑った。その時初めて笑顔が怖いと思った。


何で私が殺されなくちゃいけないのかさっぱりだけど、今はとにかく逃げなくちゃ!!


私は脇目もふらずドアまで一直線に走る。そしてドアノブに手を掛けようとしたら


バチッ!


「痛っ!?」


静電気みたいなものが流れ、思わず手を離した。てか…弾かれた?


困惑していると、クスクスと言う笑い声と靴音が聞こえてくる。







< 53 / 155 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop