魔法使いの一日
何だっけなーと頭の中を巡らせていると
ビュッ!
「――っ!!?」
突然アルベルト君が目の前に迫りすぐ横を何かが掠めた。
驚きのあまり言葉も出なく、数歩後ろに下がる。頬からはジンジンとした痛みを感じ、触れてみるとヌルリとした。それは明らかに血だった。
目を見開きアルベルト君を見てみると、手には鋭利なナイフが握られていた。
「な…何でそんな、物騒なもの……持ってるの……?」
「あれ? まだ分かんないの? ここまでバカだと笑えてくるよな。言っただろ? 俺はお前を殺すよう命を受けた、ただそれだけ。どうせ今から死ぬんだしどうでもいいだろそんな事」
平然とそんな事を言い、アルベルト君はニッと笑った。その時初めて笑顔が怖いと思った。
何で私が殺されなくちゃいけないのかさっぱりだけど、今はとにかく逃げなくちゃ!!
私は脇目もふらずドアまで一直線に走る。そしてドアノブに手を掛けようとしたら
バチッ!
「痛っ!?」
静電気みたいなものが流れ、思わず手を離した。てか…弾かれた?
困惑していると、クスクスと言う笑い声と靴音が聞こえてくる。
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