魔法使いの一日
「って、そんな覚悟決めてたまるかあぁああぁぁあ!!!!!」
ドゴッ!
「ぶふっ!!?」
カッと目を開き、迫ってくるナイフを紙一重で避けアルベルト君の頬に拳をたたき込む。アルベルト君はまさかそう来るとは微塵も思っていなかったらしく、それをモロ喰らい勢い良く倒れた。
「な…なな……」
ソラはと言うと、そう言いながら唖然とした表情で私達を見ていた。
「くっ……まさか、こんな…」
痛みに震えながら上半身を起こし、殴られた衝撃で手放したナイフを拾おうとしたけど、そうはさせるかといち早くナイフを蹴り飛ばした。
「あっ!……ぐえっ!!」
「残念でした〜〜、そう簡単にいかせてたまるかってんだよー」
何やらまたしでかそうとしたアルベルト君の背中を踏み付け、地面に縫い付ける。
「私、死ぬ覚悟が早々出来るほど出来た人間じゃないんだよね。まあ、あの時は本当にヤバいと思ったけど。実際、本当にそんな覚悟を決めなくちゃいけないことがあったとしたら、その時は決めるけど、アンタに殺されるために死ぬ覚悟決めるなんて真っ平ごめんだね!」
「ぐっ! たかが、人間の分際で……」
「えーっと……どうやるんだっけ…確かこうして…」
「いだだだだっ!!!」
アルベルト君の左腕を掴み普通なら曲がらない方向へ思いっきり捻りあげる。余程痛いのだろう、アルベルト君は半泣き状態で地面をバンバンと叩く。
「ギッ…ギブッ!! ギブギブギブーッ!!!」
「じゃあもう私達を襲わないで、洗いざらい話してね?」
「なっ、そんなの出来るわけ…………いだだだだ!! 分かった! 話す、話すからもう勘弁してくれ――――!!!!」
その光景を見て、ソラは思った。
「(さすが亜梨珠、めちゃくちゃ怖ぇ)」
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