魔法使いの一日
「…………」
そんな私を見ていたアルベルト君はまたぷいっとそっぽを向いてしまい、そして、
「亜梨珠」
ぼそりと、聞き取りづらい声だったけど、確かに聞こえた私の名前。
ぽかんとしたままアルベルト君を見てると、アルベルト君の耳が微かに赤く染まっているのに気付いた。
私はフッとアルベルト君に笑みを向け、ソラもまた、「アル…」と優しいまなざしをむけていた。しかし、このほんわかした雰囲気もこれにて終了する。
「別にお前を許してやった覚えはけどな」
と、アルベルト君はソラに明らかに分かるほどの憎しみをおびた目で見つめる。それにソラはすごく悲しそうな表情を浮かべ項垂れてしまった。
私はそんな二人にため息を吐き、話を切り出す。
「で、二人はどーいう関係なの? まあ、聞かなくてもだいたい想像できるけど…」
チラッと二人を見ると、ソラは言いづらいのか口をつぐみ、代わりにアルベルト君が口を開いた。
「友達……いや、親友だった…あんな……あんなことが起きなければ…!」
アルベルト君は唇を血が出るのではないかと思うくらい噛み締める。
「話して…もらえるよね?」
.