魔法使いの一日
は?


私の頭を埋め尽くしたのはその単語だった。それと同時に背筋が凍りつくような悪寒が駆け抜けた。


「材料って……?」

「そのままの意味だよ、だから禁薬とも言われてるんだ。その代わりどんな病気も一発で治す力がある。そのおかけで伝染病からの脅威はなくなったが…っ」


アルベルト君が再び憎しみを帯びた目でソラを見つめる。


「なんでそれがシュリルなんだよ! あいつが何をしたって言うんだよ!! お前言ったよな、薬の材料になるのは罪人だって。答えろよ!! シュリルを売りやがって、この裏切り者!!!」

「……っ」


悲痛の叫びをあげるアルベルト君に、ソラはただ俯き傷ついた表情を浮かべるだけ。


私はそんな二人を見て、少しでも怒りを抑えるためにため息を吐く。


怒りの矛先が誰に向いているかは当然。




アルベルト君にである。






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