魔法使いの一日
「ちょ! 本当の事だろ!? 逆ギレ!?」

「何言ってんの正当ギレだよ。だから歯ーくいしばれ」

「横暴だーっ!!」

「亜梨珠」


突然ソラに名前を呼ばれたかと思うと、振り上げた拳を優しく握られ、ゆっくりと下ろされた。


「ソラ?」


ソラの突然の行動に、私は首を傾げる。


「アルの言うとおり、俺はシュリルの近くに居ながら何も出来なかった。売ったって言われても否定できないんだ」

「ソラ、何を…」


自虐的なソラの発言に、私は戸惑いを隠せなかった。


「アル。信じてもらえなくてもかまわない、言い逃れだと思ってくれてもいい。ただ、知って欲しいんだ」


そして、ソラはゆっくりと口を開く。


「診断されたあの時、シュリルはもう、長くは持たないと言われたんだ」

「!? 何を……!」

「俺からもお前には話すなと口止めしたのもあるが、シュリル自身がお前には言うなと言ったんだ。お前にこれ以上、心配はかけられないと……あの口ぶりからして、既に分かってたみたいだったな…」


そう言うソラは、悔しそうな表情を浮かべていた。









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