魔法使いの一日
『あ、―――さん、兄にはこのことは内緒でお願いしますね。いろいろと面倒な事になってしまうので』

『いや、面倒とかそういう問題じゃ……』

『もう、いいんです。もう……あたしは十分生きました。そして兄や、沢山の人に囲まれて幸せでした。それに、その伝染病は、もしかしたら兄にも掛かる恐れがあるんですよね? だったら、あたしが助ける意外、誰が助けるんですか』

『何も、お前が責任を感じる事じゃ…』

『いいえ、感じますよ。それに、あたしは恩返しがしたいんです。安心してください。もし、―――さんや兄がその伝染病にかかってしまったら、あたしが一発で治してあげますから。だから、大船に乗ったつもりでどーんと構えていてください!』













ソラの話を、私とアルベルト君は唖然とした表情で聞いていた。


「なんて、こんな話した所でもうどうにもならないんだけどな…やっぱり、あの時止めておくべきだった…」


そう言いながら、ソラはアルベルト君を縛っていた縄を解いていく。






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