魔法使いの一日
「話を聞く限り、とても優しい子みたいだし…会った事もない私がこんな事言える立場じゃない事くらい分かってるけど……シュリルが自分からそうしたのは、アルベルト君も助けたかったからだけじゃなくて…アルベルト君に、自分の分まで生きて、自分の分まで人生を楽しんで欲しかった、からじゃないかな…なんて…」


なんか本当に偉そうな事言ってるなと段々話しながら思えてきて、最後は地味にしどろもどろになってしまった。そんな時、


「おーい、誰かそこに居るのかー!?」


倉庫の外から恐らく体育の先生の声が聞こえてきた。


「えっあ、はーい! 居ます居ます、絶賛三人でいまーす!」


私は倉庫の扉の前まで走っていく………が、先ほどソラにかけられた金縛りのせいで体が動かない事を身をもって思い出す。


「ソラ、この金縛りなんとかしてくれないかな?」

「え…あ、ああ」


ソラが戸惑いながらも私に手を翳すと、金縛りは一瞬にして解けた。それを確認すると、今度こそ扉の前に走っていく。


「三人!? 何でそんなにいるんだ? そもそもなんでこんなとこに居るんだ、もう下校時間はとっくに過ぎてるぞ!」

「すみません! えっとー……実は、明日の体育で使う道具を用意しとけって言われたんで他の二人と協力して用意してたんですけど…なんだか扉が開かなくなって、文字通り閉じ込められちゃってたんです」


うん、我ながらナイスウソ! 咄嗟に思い浮かんだ事とは言え、これはいけるんじゃないだろうか。









< 75 / 155 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop