魔法使いの一日
第一章 魔法使い?手品師の間違いだろ の巻き
一.疫病神な貴方
「る〜んる〜ん♪」
いやぁ、今日はタイムサービスで豚肉が安かったなぁ。ふっ近所のおばちゃん達。この私にタイムサービスの競り合いで勝てると思ったら大間違いだよ。
そんな、傍から見れば何を言ってるんだ? っと思うようなことを考えながら、上機嫌にスキップをしながら帰っていった。
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「ただいまぁー」
ドアをガチャっと開けて言う。別に、今までも家には私以外誰も住んでいなかったのに言ってたけどね。
廊下を歩いていき、リビングのドアを開けた。
「ただいまー今帰った……よ……」
「おう、お帰り」
襖を開けた瞬間、目の前の光景に思わず買い物袋を落としそうになってしまった。それを何とかぐっと堪える。
それは目の前の少年が床に寝転がっていて、煎餅片手にお茶を啜りながらテレビを見ているという、漫画か何かで有りがちな光景だった。
それだけならまだ許せるのだが、少年の周りには多数の煎餅が入っていた袋が無残に散らばっている。
落ち着け、落ち着け私。こんなこともはや日常茶飯事なんだから。
こんなことで一々怒っていたら、馬鹿らしいにも程があるわ。
私は自分に何度も言い聞かせ、何とか怒りを押さえることが出来た。
「丁度いいところに。おい、新しい煎餅を持ってきてくれ。あとお茶も頼む。ちゃんと冷まして持って来いよ。俺は熱いのが苦手なんだから」
プツンッ
私の中の何かが、大きな音を起てて切れた。
「ふざけるなぁーっ!!!」
私はまるで火山が大噴火したかのように、怒り狂った。
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