奏―かなで―

綾瀬のギターが、柔らかく音を奏でる。

あたしは綾瀬の方は見ずに、全身で彼の音を感じた。

歌が始まる。

ああ、巨大ビジョンで綾瀬が歌っていた曲を今、あたしが歌っている。



『空は澄みわたって
白い雲さえ無い
もしも雲があれば
僕は乗って逢いに行くのに

君の傍に行こうとすれば
いつも何かが邪魔して…
そんなに僕が嫌いかい?
愛を誓ったはずだろう…

「もしも」はダメだって
分かってはいるんだ
だけど心が収まらない
時が経てば経つ程
苦しさは増すばかりさ
忘れられるはずなんてない


純愛映画みたいな
ヒマワリ畑の中
もしも誓っていれば
あんなことにはならなかったかな

君を失うことになるとは
思いもしなかったんだ…
ほんとに僕って馬鹿だろう?
愛を誓ったはずなのに…

「もしも」はダメだって
分かってしまった
そんな僕を許しはしないで
時が経てば経つ程
愛しさは増すばかりで
忘れられるはずなんてない

曇った世界が澄み渡ったのは
君が笑ったからだよ
君が笑えば虹も出る
ほら、君へ続く道
そうさ、僕は今行く…』

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