甘いペットは男と化す
9章 ケイの事情
気が付けば、薬品の匂いが鼻につく、真っ白い部屋の中だった。
耳に届くのは、ピッ…ピッ…という電子音と、遠く向こうから聞こえる、人が歩き回る音。
ここがどこなのか、すぐに判断できなくて、体を動かそうと思ったら全身に激痛を感じた。
「…っつ……なんだ…これ……」
頭が痛い。
体が痛い。
思うように体が動かせない。
体が動かないことを疑問に思いながら、どうして自分がこんなふうになっているかを考えた。
だけど……
「………あ、れ…?」
こうなった原因を掴む以前の問題。
俺は……
誰だ……?