甘いペットは男と化す
まるで上から目線のその言葉。
俺の言うとおりに生きる……。
それがいったい、どういった意味が含まれているのか……。
何も覚えていない俺には、ハッキリ言って父親の言っていることがよく分からなかった。
けど……
「………お断りします」
この人と、根本的にそりが合わないということだけは分かった。
「……何?」
「だから断るって言ってんだ!
俺はお前の世話にはならない」
「お前と言うやつはっ……」
父親は、俺の言い草を聞いて怒りを露わにすると、そのまま席を立って病室を出て行った。
どうして覚えていないはずの父親に、あんな暴言ともとれる言葉を言い放ってしまったのだろうか。
自分でもよく分からないけど、沸々と父親にたいしての怒りが湧いていて、絶対にこいつの思い通りにはならないって思ってしまった。
それでも親だったからなのだろうか……。
怪我の治療が終わって、退院手続きをしようとしたら……
「会計は、お父様がすでにお済になられましたよ」
と支払ってくれていた。