甘いペットは男と化す
 



「ケ…イッ……っ…」

「アカリ……」


暗闇の中、カーテンの隙間から差し込む月明かりを頼りに、あたしたちはこの日初めて男女の関係になった。


何度も一緒のベッドで寝たはずなのに
指一本たりとも触れてこなかったケイ。

ペットとご主人の関係は、キスをする仲になり
そして男と女になった。



「アカリ、綺麗」

「やめて……恥ずかしいから」

「ダメ。見せて」

「っ……」



体が覚えているのか
それとも生まれ持ってのものなのか


記憶を失っているはずのケイの行為は、あたしなんかよりもずっと上手で……


「可愛すぎ」
「……バ、カ…」


ずっと可愛いと思っていた彼は、完全に男だった。
 
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