甘いペットは男と化す
【○○年3月25日
初めてこのお店に来たヨ!
クローバーが可愛いし、ケーキもおいしいし気に入っちゃった♪
これからいっぱい通いたいと思う!
景&沙樹】
その文字を見た瞬間、胸がズキンと痛みだす。
誰にだって過去はある。
自分にだって元彼はいる。
それでも痛む胸に、湧き上がる醜い嫉妬。
先へ読み進めると、またさっきと同じ筆跡が目に入って、同じようなコメントが書かれている。
幸せを感じている二人。
たまに登場してくる、ケイの筆跡。
二人のやりとりは、文字から伝わるほど幸せそうで……。
「…………そ…っか…」
あたしは、最後まで目を通せずにノートを閉じた。
分かってしまった。
ケイが今いなくなってしまった意味を……。
きっとケイは、昨日一人でこの場所に来て
ノートの存在に気づき、自分の頭の中に沙樹さんを入れていったんだ。
そして記憶が戻り……
彼女を選んだ。