甘いペットは男と化す
「……っ…」
分かってた。
あたしが好きになった人は、記憶をなくしてしまった過去のない彼だと。
だからいつか思い出した時
過去から大事にしている人がいれば、あたしは邪魔な存在になる。
それでも、
(記憶よりも、アカリが何より大事だよ)
そう言ってくれたケイの言葉を信じて
あたしは自分の気持ちにストップをかけることをやめてしまった。
あふれ出てくるのは涙。
零れ落ちるのはケイへの想い。
こんな悲しい気持ちになるのなら
やっぱり好きになんかならなければよかった。
ねえ、ケイ……
貴方は大好きな彼女に出逢えましたか……?