甘いペットは男と化す




「おつかれー!」
「おつかれー!」


夜、約束通り早苗と飲みに行った。

早苗とは同期の中でも一番仲がよく、さっぱりとしたこの性格が自分に合った。


「あー、やっぱビールはうまい!!」


相変わらずな、親父口調。
黙っていれば美人、とは、早苗のことだ。

つまり、見てくれは大和撫子タイプのおっとり美人なのに、口を開けば容赦ない毒舌。
同性からは好かれることは多いけど、異性だと一歩引かれてしまうことも多々あった。


「そういえば、今日は何かあったの?急に飲みになんか誘って」


早苗がこうやって突然飲みに行こうと言ってくるときは、だいたい愚痴だったり惚気があったりするときだ。
今日はいったい、何の話があるのだか……。


「あたしじゃない。アンタのほうだよ」
「え?」


だけどまさかの返し。

その発言に首をかしげた。


「あたし、早苗に相談したいことがあるって言ったっけ?」
「言ってないよ。だからこっちから誘ってやったの」


相変わらずな上から目線。
まあ、嫌味が含まれているわけじゃないからいいんだけど。
 
< 137 / 347 >

この作品をシェア

pagetop