甘いペットは男と化す
「おつかれー!」
「おつかれー!」
夜、約束通り早苗と飲みに行った。
早苗とは同期の中でも一番仲がよく、さっぱりとしたこの性格が自分に合った。
「あー、やっぱビールはうまい!!」
相変わらずな、親父口調。
黙っていれば美人、とは、早苗のことだ。
つまり、見てくれは大和撫子タイプのおっとり美人なのに、口を開けば容赦ない毒舌。
同性からは好かれることは多いけど、異性だと一歩引かれてしまうことも多々あった。
「そういえば、今日は何かあったの?急に飲みになんか誘って」
早苗がこうやって突然飲みに行こうと言ってくるときは、だいたい愚痴だったり惚気があったりするときだ。
今日はいったい、何の話があるのだか……。
「あたしじゃない。アンタのほうだよ」
「え?」
だけどまさかの返し。
その発言に首をかしげた。
「あたし、早苗に相談したいことがあるって言ったっけ?」
「言ってないよ。だからこっちから誘ってやったの」
相変わらずな上から目線。
まあ、嫌味が含まれているわけじゃないからいいんだけど。