甘いペットは男と化す
「っつー……」
思いきり手を叩かれたケイは、声を漏らしながら手を振っていて、
だけどその口角はやっぱりニヤついている。
「……バカに…しないで……」
出てきた言葉は、負け犬当然のような遠吠え。
悔しくて……
腹が立って……
さっきまでの感情とは全く違った苦しみが襲う。
「アンタなんかっ……
もう二度と会いたくないっ!!」
最後のそう言い捨てると、ケイの傍から走り去った。
「……っ…はぁっ…」
オフィスについて、
エレベーターに乗り込んだ。
一人になった瞬間、湧き上がってくる涙。
泣きたくなんかない。
泣いたら、自分がバカだということを認めるだけだから。
あたしが好きになったケイは
最初から存在なんかしていなかったんだ。