甘いペットは男と化す
13章 ペットとご主人様
「おはよう」
「おはようございます」
朝、いつもの時間に出勤をして受付へと座っていた。
通り道ということもあって、ほとんどの人が挨拶をしていく。
パソコンに目を向けながらも、一人一人に挨拶をするとなると、業務開始時間になるまではあまり仕事にはならない。
「おはよう。北島さん」
「あ…おはよう、ございます」
聞きなれた声が聞こえて、顔を上げると、そこには矢代さんがいちいち立ち止まって挨拶をしていた。
金曜日の告白のこともあって、ちょっとだけ照れてしまう。
「今日からまた一週間頑張ろうね」
「はい」
会社ということもあって、たった一言。
だけど立ち止まってまで、そう声をかけてくれる人はなかなかいない。
週初めのやる気のなさが、いっきに喝を入れられた気分になった。
うん。
もういろいろ考え込みすぎずに、前向きに頑張ろう。