甘いペットは男と化す
 
「……そっか…。
 じゃあ俺は……外で生活するしかないかな……」

「え?……あ……」


それを言われて思い出した。

ケイは記憶喪失であり、自分の家族とはなにか訳ありな感じで……。


「残りのお金は……3万4千円……。
 野宿なら1ヶ月くらい持つかな」

「……」

「明日はまた雪だってね。
 寒いんだろうな……。夜は」

「……っ」

「アカリ……。ごめんね。迷惑かけて。
 アカリのベッド、温かくて気持ちよかったよ」

「………分かったって!!」



完全に、あたしの負けだ。

次々と吐き出される可哀そうな生活事情。
まるであたしが悪者だ。



「記憶……。

 戻るまでだからね」


「ほんと?

 アカリーーッ!!」


「きゃっ……」



ギュッと抱き着かれた体。

あまりにも予想外の出来事に、そのままベッドへと倒れこんでしまった。
 
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