甘いペットは男と化す
 
「これ以上は何も言わないで」


見下ろす冷たい瞳。

一瞬にして、穢れのないあの瞳は消えてしまった。


「俺とアカリは、恋愛感情を持ち合わせない関係でしょ?
 ペットとご主人様みたいな」

「……」


最低な発言。

それなのに、押さえつけられる手首を、振りほどこうと思えない。


「アカリがただ、俺に懐いているだけ。
 俺はそんなアカリを可愛がるだけ。

 それ以上求めないで」


本当に……最低だ。

あたしが好きになったケイの面影なんて、どこにもない。
こんな意地悪な男、好きじゃない。

そう頭では捉えているのに……



「逃げないんだ?」

「……逃げちゃダメなんでしょ」



心と体は、彼を拒まないのはどうしてだろう。

あたしは面白そうに見下ろす彼を、ただ見上げるだけ……。




「うん。
 ペットとしてなら……ずっと傍にいてあげるよ」




あたしの心はもう、
今の彼に囚われている……。
  
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