甘いペットは男と化す
 
だけどそのあとは、ずっとケイのお見合いのことが頭から離れなかった。


今度の日曜日って言ってたな……。
パークホテルで……。


(じゃあ……いい人、だったら……結婚とかも考えたりするんだ?)

(うん)


相手の人が、どんな人なんか分からない。

だけどもし今回がダメでも、きっとあの父親なら別のお見合い相手をもってくるだろう。

ケイはそれを分かっているから、相手が特別嫌な人じゃなければ承諾してしまうかもしれない。


だけど……


(愛し合ってた。なんて言いたいわけ?
 悪いけど、俺にそんな感情、持ち合わせてないから)


愛のない結婚なんて、本当に幸せになれるものなのだろうか……。



「……」


あたしのことは、好きじゃなくてもいい。
あたしを好きになってくれなくてもいい。


だけどあたしは、
ケイに幸せになってもらいたい。




日曜日。
あたしは一人、パークホテルへと向かった。
 
 
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