甘いペットは男と化す
来たのはいいものの……
「どうしよう……」
一人、パークホテルのエントランスで立ち尽くすあたし。
1時からお見合いと言っていたので、12時半にここに来ていた。
パークホテルのどこのお店でやるのか知らないし。
それに……
いったいあたしは、そのお見合いをどうしたいんだろう。
お見合いをやめさせると言っても、あたしはただの部外者。
ケイがお見合いをする気である以上、あたしが何かしたところで、きっとホテルの人につまみだされるだけだろう。
ケイは確かに、好きでもない人と結婚する気でいるかもしれない。
けど、これから会う、お見合い相手を、必ず好きにならない保証もないのだ。
「そしたらあたし、ただの邪魔者じゃん……」
今さらながら、冷静になった頭で自分のやろうとしていることの愚かさに気づいた。
「……あ…」
だけどそこに、一つの見知った影。
スマートなスーツに身を包んだ、ケイが現れた。