甘いペットは男と化す
ケイの姿を見て、うろたえるあたし。
だけどあたしではない別の三人が、ケイへと近寄っていった。
「村雨…景さん?」
名前を呼ばれて振り返るケイ。
呼んだのは、一人の年配の男の人。
「あ……ご無沙汰しております。園田さん」
ぺこりと丁寧に下げるケイを見て、相手がお見合い相手だと分かった。
年配の男の人と女の人に、若い女の人。
後ろ姿だからよく分からないけど、小柄で華奢な可愛らしい女性だ。
「すみません。父がまだ到着していないみたいで……」
「いえいえ。まだ時間前ですし。
そちらに座って待っていましょうか」
「はい」
どうやら、ケイのお父さんだけがまだ来ていないようで、落ち合った四人はフロント前のソファーに腰をかけた。
ハッとして、あたしもケイの背中に回り、その近くへと隠れながら座った。
「先に紹介してしまいますが、娘の留美です。
留美、挨拶を」
「初めまして。留美と申します。
今日はお会いできて光栄です」
小さな女性に見えた彼女は、前から見てもまだ幼さが残る可愛らしさを持っているけど、ずっと大人なふるまいが出来るスマートな女性だった。
きっとこれは、家柄が現れているのだろう。