甘いペットは男と化す
16章 あなたがいれば…
いつもの日常だと思っていた。
お見合いをすっぽかしたケイは、週末家にいたけど、今朝あたしの家から出勤したものの、今日は自分の家に帰ると言っていた。
少し心配だな……と、考えていたのは人のことばかり。
だから朝会が終わって、通常通り受付と総務の仕事を行おうとスケジュール確認をしていると、上司に呼び出された。
通されたのは、まさかの社長室。
あたしの隣には上司が立って、目の前の椅子には社長が座っている。
え、あたし、何かやらかした……?
いきなりの社長直々の呼び出しに、内心バクバクだった。
「北島くん」
「は、はい」
社長に、名前を呼ばれること自体珍しい。
自社ビルを持ってはいないけど、それなりに大きいのでこうやってただの平社員が、社長と面と向かって話すこと自体少ないから……。
次に何を言われるかと、社長の口元を見て言葉を待った。
「君、ビレッジレインのご子息と、何か関係でもあるのかい?」