甘いペットは男と化す
「ケイ」
伏せられてしまった瞳に、もう一度名前をきっぱり呼ぶと、
ゆっくりと上げられる視線。
絡み合った瞳は、苦しそうで……
でもやっぱり、救いを求めているようにも感じた。
「俺が……アカリを好きになったのは、記憶がないまっさらな時だ」
揺らぐことのないその瞳に、期待していた言葉とは違う返事が返ってきて胸が痛んだ。
握り締めていた手を離そうとしたら、
その指はゆっくりとあたしの唇をなぞる。
「だけど……
好きだった気持ちは、今も消えない」
「…っ」
困惑が含まれた、微笑。
好きになりたくないのに、好きになってしまったことの悔いがあるのかもしれない。
それでも、今そうやって答えてくれたのなら……
「あたしも……
あの時のケイも、今のケイも大好きだよ」
これから起きる、どんな障害も
乗り越えていこうと決心した。