甘いペットは男と化す
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「……誰にも触れさせたくないと思ったんだ……」
「え?」
なだれ込んだベッドの中、ケイは乱れた姿のあたしの胸元をなぞる。
「アカリのことは忘れるつもりだったのに……
あの日、矢代さんとアカリが一緒にいるのを見て……。
どうしようもないほどの嫉妬が芽生えた」
ケイが言っているのは、きっとあたしと矢代さんが初めて一緒に飲みに行った日の夜。
タクシーで送ってもらって、マンションの前に降りるとそこにはケイがいた。
「ただ、影からアカリの様子を見るだけのつもりだったのに、まさか男と一緒にこんな時間までいたと知ったら自分でも歯止めが聞かなくて……。
だからバカみたいに、アカリを脅して部屋に上がりこんでた」
「……そう」
合鍵をちらりと見せて、部屋に上げてくれないのなら勝手に入ると言ってきたケイ。
でもね、
あの時本当は……
「チェーンさえ閉めてしまえば、鍵なんて関係ないはずだったんだよ?」
「あ……」
ニコリと微笑んで、上から見下ろすケイの頬を捕えた。