甘いペットは男と化す
「ここか……」
自分の最寄駅から、6駅ほど離れた場所。
歩いて5分のところに、サイトで予約した英会話教室があった。
無料体験ができる、かつ、すぐに対応してくれる場所を探したら、少し離れたここしかなかった。
とりあえず、休職中の給料がもらえているうちに、英会話が多少できるレベルになってないと。
そんな目論見もあった。
「こんにちは。初めての方ですか?」
「あ、はい。先ほどお電話で予約しました、北島です」
「北島様ですね。お待ちしておりました」
にこりと微笑む可愛らしい女性。
多分あたしより、いくらか年下だ。
やっぱり、受付嬢って言ったら、20代前半のほうが華があるよね……。
「では、こちらにご住所お名前等々をお書きくださいませ」
「はい」
手渡された、個人情報を書く用紙。
一通り記載して、最後のアンケートに目を通した。
【希望の先生:日本人・イギリス人】
うーん……
やっぱり慣れさせるためには、イギリス人のほうがいいのかもしれないけど……
ひとまず、日本人よね。
ビビりなあたしは、日本人を丸く囲っていた。