甘いペットは男と化す
「………やっぱり…」
あたしの様子を見て、すぐに悟ったケイは、大きくため息をついた。
ソファーに座り込んでいるあたしの目の前にまで来て、目線を合わせるようにしゃがみこむ。
「なんで言わなかったの?昨日には分かってたんでしょ?」
「……それは…」
確かに、ケイが昨日家に来た時には、あたしはもう辞令をくらってた。
けど、言えるわけない。
ケイのお父さんが原因ということは、ケイとの関係が原因ということなんだから……。
それはケイ自身を責めることになってしまう。
「やっぱり警告されたんでしょ?俺と別れろとか、近づくなとか……。
じゃないと、うちの会社との契約を取りやめにするとか言って、アカリの会社の社長まで取り入って」
「……」
「……黙ってたらわかんないよ」
まるで、親に諭されているようだった。
ケイの声は、あたしが予想していたような怒鳴り声とかでもなく、ただ優しくて……。
あたしは何も言えない子供……。
「アカリ……」
ケイはそっと、あたしの手を握った。