甘いペットは男と化す
「アカリのことだから、俺のため思って黙ってたんでしょ。
事実を知ったら、俺が自分を責めるって」
「……」
ケイには、最初から何もかもお見通しのようで、あたしが心に秘めていたことをズバズバと当てていく。
じっと見つめる二つの瞳は、目を合わせなくても視線を感じる。
「……ったく……。
アカリが言ったんじゃん。
一緒に頑張ろうって」
「……ぁ…」
「何勝手に一人で抱え込んでんの?
それじゃあ、一緒に頑張ってないでしょ。俺だけをかばうなよ」
それを言われて、ようやく逸らしていた視線を合わせた。
ケイは呆れ交じりにため息を吐いて、じっとあたしを見つめる。
「こんなふうになること、とっくに予想してたよ。だから昨日アカリのとこに確認しに来たんだし。
それが嫌でアカリから離れようとも思ったけど……
アカリが一緒に頑張ろう、って言ってくれたから……。
だから俺は、アカリを手離さずに、これから起きることと闘おうって決めたんだけど」
「……ケ、イ……」
「アカリが俺に相談してくれないことのほうが辛い。
だから何でも言えよ。
じゃないとアカリのこと、守れない」
「…っ」
優しく見つめる瞳。
握り締める温かい手のひら。
年下だと感じていたケイは、あたしよりもずっと大人だった。