甘いペットは男と化す
 
その日、泊まるかと思ったら、
ケイはあたしを抱くと、また会社に戻るといって部屋を出て行った。

明日も忙しいから、家には寄れそうにないと告げて……。


その言葉に、やっぱり寂しいと思ってしまう自分は、弱く脆い女になってしまったな…と思いながら、納得してケイを見送った。


淳史と付き合っていた時は、週に1回会えたらいいほうで、
後半なんて二股をかけられていたこともあり、月に1回ということもあった。

それでも仕方ない、と諦めていたし、とくに泣きそうにはならなかったけど……



「一人で眠るのはさみしいよ……」



暗くなった部屋。
シングルベッドで横になりながら
冷たい隣を目にしてつぶやいた。




そういえばケイは、あたしが会社を辞めたくないと言ったら
「ん。わかった」
と一言だけ漏らしていたけど、あれはどういった意味が含まれていたんだろう……。


あたしも何か動かないとな……。


そう思った。
 
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