甘いペットは男と化す
 
「そういえば、北島さんは平日がお休みなの?」
「あ……いえ、そういうわけでは……」


確かに、平日の午後一から、英会話に来ていれば、平日が休みだと思われるのは当然だ。

プロフィールには、一応今の勤務先を記載しているから、ニートをしているとも思われているわけではない。


「……まあ、時間の使い方は、人それぞれよね」
「はは……」


言いづらいということも相内先生に伝わったようで、これ以上先生も追及してくることはなかった。


「それじゃあ、無料体験はあと一回ね。
 今日予約されていく?」
「あ……ちょっとまだスケジュールが分からないので、あとで電話予約します」
「OK」


にこりと微笑む相内先生は、女のあたしから見ても本当に美人だな…と思った。

年はたいして変わらない気がするけど、あたしよりもずっと大人の色気を持った人。
早苗も大和撫子タイプだけど、それよりもずっと気品のある容姿だ。


「どうかした?」
「あ、いえっ……」


ついじっと見てしまっていたら、不思議に思って相内先生が訪ねてきた。


女の人に見とれたなんて、初めてだ。
 
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