甘いペットは男と化す
 
「それでは、次回お待ちしております」


受付の子に見送られて、教室を出た。

まだまだ日が高い夕方前。
今日はこのあと、どうしようか……。



「英語は話せるようになったの?」

「え?」



ふと後ろから声をかけられ、驚いて振り返った。

そこにいたのは、


「ケイッ……」
「間抜けな顔してるけど大丈夫?」


憎まれ口を添えた、ケイがいた。


「え、どうして?」
「外出の帰り。すぐそこの会社だったから」
「あ、そう……」


顔でクイと向けたそこには、この駅では一番高いビル。
おそらく、そこに取引関係の会社が入っているであろう。


「確か、この時間、教室入ってるって言ってたから様子を見に来てあげたの」
「……ありがと」


なんだろう、この上から目線。

相変わらず、本性は生意気だ。
 
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