甘いペットは男と化す
だけどこんなふうに言われて、イラッと来ないのは……
ケイに会えたのが二日ぶりだったから……。
たった丸一日会えなかっただけで、こんなにも会えたことが嬉しいと感じてしまう自分は、どうしようもないほどケイに溺れている。
「早くこっちにきなよ」
「え……っ」
グイと引っ張られた腕。
気づけば目の前にはスーツを着こなしたケイの胸板。
「わざわざ出向いたんだからさ。会いたかったでしょ?俺に」
「何それ……」
「俺はアカリに触れたくて仕方なかった」
「……」
ぎゅっと抱きしめながら、耳元で聞こえる女殺しの言葉。
どうしてあたしたちは、こんなにも離れられなくなってしまったんだろう……。
「キスしていい?」
「だ、だめだよっ……」
「なんで」
「みんな見てるしっ」
「誰もいない」
「…っ」
人通りの多い道から、少し外れた英会話教室の前は、確かに誰の姿もなくて
あたしの恥じらいの抵抗は虚しく、ケイに唇を塞がれてしまう。
イイ大人がこんな場所でダメだって頭では言っているのに
うまく逆らえない自分。
あたしはいつだって、ケイにされるがままだ。
「今日はアカリんち行くから。遅くなるけど」
「……うん」
唇を離して、至近距離のまま……。
ケイは少しだけ微笑んで言った。
ああ、なんだかもう……
どこまででも頑張れる気がする。