甘いペットは男と化す
18章 隠された秘密
一瞬にして、
二人の時間が止まったように感じた。
絡み合った視線は、誰の邪魔も許されることがないほどで……。
だけどそう思っていたのは、ほんの少しの時間。
「久しぶりだね!景」
相内先生は、にこりと微笑むとケイへと挨拶をしていた。
その声が、あまりにも明るかったので、一瞬にして気が抜けた。
あれ……?
この二人、実は結構あっさりと別れてたの?
そう思って、ケイへと振り返ると、
「……」
ケイの口は固く結ばれ、怒りが含まれているようにも見える。
悲しげな顔でも
未練が残っているような顔でもない。
ただ相手を憎んでいるような……そんな怒り。
「……アカリ。行くよ」
「あ、ちょっとっ……」
ケイは相内先生へと何も話しかけることなく、一人背を向けて駅へと歩き出してしまった。