甘いペットは男と化す
「あ、の………」
「………しょうがないわよね…」
そんな背中を見て、相内先生は悲しげに笑っていて……
「北島さんの彼氏かしら?」
「あ…っと………まあ、一応…」
「そう」
相内先生は、感情の読み取れない曖昧な笑みを浮かべた。
「ほら、彼氏行っちゃったわよ?早く追いかけないと」
「あ、はい……。携帯、ありがとうございましたっ」
だけどすぐにその微笑は、明るい笑みへと変わり、あたしの背中をトンと押した。
あたしはケイを追いかけるしかなく
それ以上、相内先生に何かを聞く勇気もなかった。
ただ今は、怒っていた表情だったケイの背中が
すごく悲しげに満ちている気がして……
「ケイっ!!」
あたしがするべきことは、ケイを追いかけることだと思った。