甘いペットは男と化す
 
「待ってって……」
「遅い。何やってんの」
「だって……」


ようやく追いついて、ケイの隣に並ぶと、ケイはやっぱり怒っている顔。


「あの人、アカリの英会話の先生なの?」
「うん……」
「そっか……」


それ以上、突っ込んでいいのか……
ケイはただ頷いただけ。


聞かなくたって分かってる。
彼女が、ケイと付き合っていた沙樹さんだということを……。

それなら、今、ケイが話したくないのなら、聞くのはやめておこう……。



「今日の夜、何食べたい?」
「………アカリ」
「だからねぇ……」
「なんでもいい。だけど、デザートはアカリ」
「もう……」


今はただ、彼の隣にいるのが自分だと言うことだけを考えていたい。
 
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