甘いペットは男と化す

　
「あの……
　ケイと先生が別れたのは……何か理由があったんですか？」


こんなこと、今カノが元カノに聞くなんておかしなことかもしれない。
だけどどうも、ケイの態度が引っかかって、それを知らずにはいられなかった。


「景から聞いてない？お父さんのこと」

「あ…少しは……。
　ケイのお父さんが、先生との関係を認めなかったとか……。
　それで、先生へと姑息な手段で、嫌がらせをしたり……」

「そう……。合ってる。それが理由よ」


返ってきた返事は、ケイから聞かされた言葉と全く同じ。

でもそれでは、ケイが相内先生を恨んでいる意味が分からない。


「それだけなんですか？
　それで、お互いに納得しちゃったんですか？」

「………」


納得しきれなくて、じっと相内先生の顔を見つめた。

先生は一瞬だけ瞳を揺るがすと……



「手切れ金を……受け取ったの……」



そう、悲しそうにつぶやいた。