甘いペットは男と化す
「景のお父さんにね、勤めている会社を裏から回られて…私は辞職するしかなくなって……。それでも景と別れる気はなかった。
仕事は別を探そう…と。景のお父さんが関係ない仕事をしよう……。
そう思っていたんだけど、ある日突然、景がいないときに、お父さんが直々に会いに来たことがあって……」
(これで息子と別れてほしい)
「茶封筒を渡してきた。
中には100万入ってた」
「えっ……」
まさか、こんな漫画の世界であるような手段を、現実でするような人がいるなんて思わなくて、驚きの声を上げた。
「もしかして……それで……?」
「……」
その言葉に、相内先生は笑って頷いた。
悲しみの微笑……。
「当然、それは景にバレて、なんで金なんか受け取ったんだ!?って……。
俺よりお金のほうが大事なのか?って……」
(なんでだよ!!
なんで親父の金なんか受け取ったんだよ!!
俺よりも金のほうが大事なのか?そんなんで目がくらんだのかよ!?)
(………そうよ)
「私は、景よりもお金を選んだの」
そう言った相内先生の瞳は、
悔いのない真っ直ぐな瞳をしていた。