甘いペットは男と化す
マンションに着いて、鍵を差し込むと、いつもの方向に回らない。
ハッとして、すぐに鍵を抜くと、ドアノブを回した。
ガチャリと、抵抗なく開いたドア。
玄関に投げ出された茶色の革靴。
「………ケイ?」
「おかえり」
ソファーには、この前と同じような格好で身を預けているケイがいた。
「た、だいま……。来てたんだ?」
「ん。ちょうど今来た」
予想外のケイの訪れに、パッと嬉しくなってすぐに駆け寄った。
だけどケイの顔は、少しだけ怖い。
「どうかした?」
「こんな時間まで、何やってたの?」
「あ……えっと……」
どうやら、機嫌が悪い原因は、あたしが遅い帰りだったことらしい。
ここは、正直に相内先生に会ってきた、と言っていいものなのだろうか……。
「仕事のあと、英会話に……」
「………あの人指名で?」
「……うん…」
返事を聞くと、ケイはため息をついてそっぽを向いた。