甘いペットは男と化す
「申し訳ありません。アポイントがない方は、村雨とはお会いすることはできません」
「じゃあ、どうやったらアポは取れるんですか!?」
仕事が終わって、真っ直ぐと向かったのはビレッジレインだった。
どうしても、ケイのお父さんと直接話がしたかった。
こんな回りくどいことをさせられるんじゃなく、それなら直接言ってもらいたい。
そうすればあたしだって、ちゃんと受け答えくらいできるのに……。
「えっと……お客様はどういったご用件で?」
「それはあなたにはお答えできません!社長に直接お話があるので」
「そう言われましたら、アポも取りようが……」
「どうかしたか?」
あたしと受付嬢が言い合っている間、後ろから聞こえた声。
振り返ると、少し年配の人がいぶかしげな瞳であたしを見ている。
そしてその後ろには……
「あ………村雨社長!」
「……君は……」
社長である、ケイのお父さんが一緒に歩いていた。