甘いペットは男と化す
 
「ケイはずるいね。自分の武器を知ってて」
「世渡り上手だから。でも甘えるのは、アカリにだけだよ」


それがズルイんだと、心の中でつぶやいて、
観念したかのように、顔だけケイへと向けた。


「この体勢やばい。密着してるし、アカリが上目遣いだし」
「知らないよっ……」
「無理。もう手遅れ」
「ちょっ……」


顎を掴まれて、ケイからのキスが降ってきた。

手はすでに、あたしの体をまさぐり始めていて……


「もう……」

「アカリが誘ったんだよ」

「誘ってないっ……」


じゃれつくペットは、今日もあたしの体に甘噛みをする。



この幸せな時間が
これからもずっと続いていくように……


「俺にもつけたでしょ」
「ふふっ。だってズルイじゃん」


猫も犬に自分の痕を残した。
 
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