甘いペットは男と化す
「おいしいっ……」
「でしょ?ここのハンバーグは絶品なのよ」
「ですねっ」
相内先生に、すごくおいしいハンバーグ屋さんがあると言われて連れてきてもらった洋食屋。
言われた通り、頼んだハンバーグは肉汁たっぷりでものすごくおいしかった。
「北島さんは、ほんと素直に反応するわよね」
「え?」
ハンバーグのあまりのおいしさに、つい素で頬張っていると、そんなあたしを見て先生は笑っていた。
「私と1つしか変わらないのに……。若くて羨ましいわ」
「そんな……。あたしからしてみたら、相内先生のような美人に憧れますよ」
「そんなことないわよ」
お互いに褒め合って謙遜し合う。
きっと話したいことは、そんなことじゃない。
「あの……」
「何?」
今まで、ずっと先生に聞きたいことがあった。
聞こうかどうか悩んでいることがあった。
「どうして……お金を受け取ったんですか?」
それは、ケイのお父さんから手切れ金を渡されたことだった。