甘いペットは男と化す
 
「だから、北島さんの強さが羨ましい。
 諦めない強さも、頑張る強さも……素直に表現できる可愛らしさも……」

「後悔……してるんですか……?
 景と別れたこと……」

「どうだろうね……。
 確かに心残りはあったけど……あのまま景と一緒になってたら、多分耐えきれなかったと思うから」


そこまで言うと、相内先生は笑ってコーヒーをすすった。


怖くて、逃げてしまっても……
それは相手を嫌いになったからじゃない。

だからこそ、残ってしまった心残り……。


「一回、ぶつかったら……残ってる心残りも消えるのかな……」

「え?」

「なんてね」


ちょっとだけビクついて顔を上げると、先生はイタズラに微笑んだ。

ぶつかるということは、ケイに会いに行くということで……


「いいの。景は思い出で」


自分の不安を優先して
悲しげに微笑む相内先生を見ないふりをするのは、自分の器が小さい証拠だ。
 
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