甘いペットは男と化す
 




「おかえり」
「ケイッ……」


マンションに帰ると、閉まっていた鍵なのに明るい部屋。

慌ててリビングへ行くと、久しぶりのケイがいた。


「え!今日は早く終われたの?」
「うん。久々に区切りがよくて」


ケイに会うのは、2週間ぶりだ。

ケイがお父さんを見返す、と決意してから、毎晩会社詰めになって、
雑念をいれないようにするために、遅くなる日はあたしに会わないようにしていた。

あたしもあたしで、同じ考えを持ち、会いたいけど勉強漬けになっていたし。


「今日はスーパー?」
「そう。閉店までだったから」
「バイトもバイトで大変そうだね」
「なかなかね」


今日はスーパーのアルバイトだった。

それとドーナツ屋さんの2つのアルバイトを掛け持ちしている。


「それよりも……」
「え?きゃっ……」


グイと引っ張られた腕。

その反動で、ソファーに座るケイの膝の上になだれ込んだ。
 
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