甘いペットは男と化す
「うかうかしてたら、俺も親父のこと越せないしね」
「そうだよね」
この間ケイのお父さんに話された、ケイが名古屋の支社長を任せるという話は、とりあえずはケイが断っていた。
だけどそれは、決してあたしのためじゃない。
まだまだ未熟な自分が、一つの支社の社長を担うなんてしてはいけないと判断したからだ。
若すぎる自分を理解して、今は一社員として力をつけている。
「とりあえず今は、0になったパワーを充電させてもらわないと」
「え?んっ……」
そう言うや否や、唇はケイのものに塞がれ、いつの間にか手は頭の後ろへと回されていた。
久しぶりのキス。
2週間ぶりのキス。
世の中には、遠距離恋愛というものをしている人たちもたくさんいるけど、あたしにとってこの2週間は、自分に厳しくさせないとやっていけないほど寂しかった。
「待って……電気っ……」
「だめ。消させない」
「恥ずかしいからっ……」
「恥ずかしがることないでしょ?見るのは俺だよ?」
「だからっ……」
必死に抵抗しようとしているのに、そんなことは許されなくて……
身に着けている衣類は、明るい部屋の下、どんどん剥ぎ取られていった。