甘いペットは男と化す
23章 結果
「社長。最終面接を終えた方がお見えになりました」
「通してくれ」
扉の向こうで、久しぶりに聞いた低い威厳のある声。
何も知らない村雨社長は、きっと社長椅子にふんぞり返っていることだろう。
「どうぞ」
「失礼いたします」
芯のある声で、真っ直ぐと挨拶を交わす。
深々と頭を下げ、きりっと顔を上げた。
まだ書類に目をやっている村雨社長。
あたしの存在には気づいていない。
「北島朱里と申します。どうぞよろしくお願いいたします」
はっきりと自分の名前を述べて、向こうの反応を待った。
「……北島…朱里……?お前は……」
「お久しぶりでございます」
初めて、動揺した顔を見た。
社長椅子にふんぞり返っていた村雨社長は、あたしの姿を見て目を大きく見開いた。