甘いペットは男と化す
 
「ただいま……」
「おかえりー!アカリー!」
「う……」


ドアを開けた瞬間、飛びついてきたのはもちろんケイ。

お願いだから、今その大きな体で抱き着くのはやめてほしい。


「ごめん。具合悪いから、今日のご飯はこれで」


そう言って、差し出したのは駅前の惣菜屋で買ったお弁当。
何を買っていいのか分からず、ロースカツ定食にした。


「大丈夫?熱あるの?」
「多分……。だからごめん。今日はとりあえず寝るね」


ひとまず、寝る前に薬だけ飲んでおこうと思って、薬箱から解熱剤を取り出した。
熱は計らなくても分かる。
これは確実に、38度超えしているだろう。


「今日は絶対にベッドの中に入っちゃダメだよ。うつるから」
「……」


分かっているんだか分かっていないんだか……
ケイは不安そうな瞳であたしを見つめているだけ。


いろいろ言ってあげたいけど、今はとてもじゃないけど、ケイに構ってあげる余裕なんかなくて……。


部屋着に着替えるのもだるくて、上着だけ脱ぐとそのまま布団の中に潜り込んだ。
 
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