甘いペットは男と化す
「……」
ふと、瞼が開いた。
目の前に広がるのは、真っ暗な天井。
さっきまで感じていた、明るい陽射しなんかどこにもない。
あ、れ……?
淳史は……
「……」
ようやく頭がハッキリしていき、夢と現実の区別がつくようになってきた。
そして気が付く。
今の今まで見ていたものは、決して現実なんかじゃない。
夢の出来事なんだと……。
「ははっ……バカみたい…」
天井を見上げながら、思わず自分に苦笑した。
あんなに恨んでいたのに……
もうなんとも思ってないと思っていたのに……
夢の中のあたしは、淳史にプロポーズまがいなことをされて、確実に嬉しがっていた。
「アカリ?」
ふと誰かに名前を呼ばれ、淳史なんじゃないかと振り向いた。