甘いペットは男と化す
 
「起きたの?具合はどう?」

「ケイ……」


あたしを心配そうに覗き込んできたのは、夢の中では完全に忘れていた、一人の男の子……ケイだった。


「うん……。
 薬がきいてるから、さっきよりは……」


確かに、体調的にはそこまで悪くはない。

おそらく、解熱剤効果だから、切れたらまた熱が出るんだろうけど……。

でもそれ以前に、今は頭の中が気持ち悪い。


「ちょっと目が覚めちゃっただけだから……また寝るよ。
 ……もしかしてケイ、ずっとここにいたの?」

「あ…うん。アカリが心配で」


ケイは、ベッドのすぐ横に座った状態で、あたしを見つめている。

エアコンは効いてはいるけど、いくらなんでも寒いし、こんな場所じゃ眠れないはずだ。


「あたしは大丈夫だから、ケイもソファーで横になって」
「やだ」
「やだって……」



「だってアカリ、泣いてるから」



「え……?」


その言葉に、目を大きく見開いた。
 
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